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ダンボールを使って工作するときや日常生活のなかでダンボールを扱うときに、「ハサミを使ったらうまく切れなかった」「カッターで切ろうとしたら刃がすべってケガをしてしまった」という苦い経験をもつ人も多いでしょう。
きちんと下準備を行って必要な道具を用意すれば、安全かつ綺麗にダンボールを切ることが可能です。
今回は、ダンボールを安全かつ綺麗に切る方法とダンボールの切断・解体作業に役立つ道具類を解説します。ダンボール工作に興味がある人は、罫書き(けがき)のコツも一緒にチェックしましょう。
目次
ダンボールで工作するときや大きなダンボールを処分するときなどは、ダンボールを切る必要があります。ダンボールは普通の紙と構造が異なり、また丈夫な紙を用いて作られているため、普通の紙のように切ることはできません。
しかし、いくつかの下準備を行うことでダンボールを安全かつ綺麗に切れます。
ここからは、ダンボールを切るための下準備について説明します。
工作などにおいて、切断する素材に加工の目印となる線や印をつけることを罫書き(けがき)と呼びます。
ダンボール工作初心者の場合、切りたい箇所の寸法だけを定規で測って切るケースが少なくありません。しかし、罫書きをしないと気付かないうちに定規や刃がずれて失敗しやすくなります。スムーズに作業するためには、面倒でも丁寧に罫書きすることが大切です。
また、罫書き線を引く際は流れ方向と幅方向の確認も欠かせません。ダンボールの断面を見たときに中芯(ダンボールの中に挟まれている紙)の波型が見えるほうが流れ方向、見えないほうが幅方向です。方向によってダンボールの折れやすさが変わるため、間違えないようにしましょう。
せっかく罫書きを行っても、線が見えにくいと罫書きをした意味がなくなってしまいます。罫書きに使う筆記具は見やすい色を選び、ずれたり途切れたりしないよう注意しながら、実線をはっきりと引きましょう。ダンボールの罫書きには、にじみにくいマジックペンや鉛筆などが適しています。
ダンボール工作における罫書き線は、作品の裏側にくるライナー(ダンボールの表面を覆う紙)に引きましょう。作品の表側に濃い線を引くと、作品の見た目が悪くなってしまいます。
同じ寸法で複数回罫書きする場合は、罫書きゲージを使うと便利です。
副尺をダンボールの端(基準線)に当てて主尺を好きな位置へスライドさせると、平行線を簡単かつ正確に引けます。
主尺をネジで留めることで一度測った長さを固定できることが、罫書きゲージの大きなメリットです。
ダンボールの切断に使う主な刃物類には「ハサミ」「カッター」「ダンボールカッター」が挙げられます。それぞれのメリット・デメリットは、以下の通りです。
●ハサミ
文房具店などで手軽に入手できて多くの家庭にあるハサミは、特別なテクニックがなくても簡単に使うことができます。ただし、ダンボールの大きさによってはまっすぐ切りにくいことがデメリットです。またダンボールの上下から圧力がかかるため、切断面がつぶれやすくなります。
●カッター
カッターでダンボールを切ると、ハサミで切ったときよりも切断面が綺麗になります。机の上などで作業するときはカッターマットを使用し、まっすぐ切断したいときは定規を当てて切ります。
カッターはハサミと同じく手頃な価格で入手できますが、刃が薄いものや切れ味が悪いものを使うとケガをしやすいため注意が必要です。
●ダンボールカッター
一般的なカッターより刃が厚く刃先が丸いため、軽い力で安全に切ることができます。ダンボール箱の開封作業時に中身を傷つけにくいこともメリットです。
ダンボールカッターは、荷物開梱用から工作用までさまざまな種類があるため、予算・用途に合わせて選びましょう。予算を抑えたい人やシンプルな作業が多い人には手動タイプ、複雑な作業や力のいる作業が多い人には電動タイプがおすすめです。
ただし、ダンボールカッターには一般的なカッターよりも数百円~数千円ほど値段が高いというデメリットがあります。また、切れ味が落ちると刃全体を替えなければならないため、維持コストも高めです。
切り方のコツさえ掴んでしまえば、ダンボールカッターはもちろん、一般的なカッターナイフでも安全かつ綺麗にダンボールを切ることができます。
複雑な形に切りたいときや小さく切りたいときは、まず不要な部分を大まかに切り落としてから細かいところを切ると失敗しにくいでしょう。
そのほかにも、カッターを使って安全かつ綺麗にダンボールを切る方法は存在します。
ダンボールをカッターで切るときは、切断面から見てなるべく垂直になるよう刃を立てると切りやすくなります。
もし切りにくいと感じたら、刃を寝かせて切っていないか確認してみましょう。刃の角度を変えるだけで、スムーズに切れることも少なくありません。
硬くて丈夫なダンボールは、一気に切ることが難しいものです。ケガや失敗のリスクを避けるため、力ずくで切ることはやめましょう。
手間を惜しまず二度切り・三度切りすることが、綺麗に切るための近道となります。
●二度切りの手順
●三度切りの手順
ライナーを切るときは、なるべく1回で切りましょう。ライナーに複数回刃を入れると、切り目がずれて切断面がガタガタになることがあります。
カッターのすべりが悪い場合は、刃に薄くワセリンを塗るとスムーズに切れます。
カッターに定規を当てて切る場合は、竹定規や厚手のプラスチック定規(厚み3mmほど)などがおすすめです。竹定規やプラスチック定規は、金属製の定規より軽くてダンボールを傷つけにくく、定規と刃がこすれあう音もほとんど気になりません。
ただ、厚めの定規は罫書きに使いにくいと感じることがあります。その場合は、罫書き用の薄い定規と切断用の厚い定規を準備するとよいでしょう。
ダンボール工作初心者には、簡単に扱えて入手しやすい30cm前後の定規がおすすめです。シンプルな竹定規からすべり止めゴムや金属製ガイドがついたカッティング用定規まで、さまざまな定規が販売されています。自分にとって使いやすい定規を選びましょう。
ダンボールをくり抜きたい場合は、裏ライナーだけでなく表ライナーにも罫書きが必要です。普通に切断する場合よりも手順が増えるものの、両側に罫書きすることで失敗が少なくなります。
円をくり抜く場合は、曲線をゆっくり切ることを意識しつつ以下の手順で進めましょう。
①円の中心点を決め、細めの針で穴をあけます。
太い針を使うと穴が大きくなり、罫書きがずれやすくなるため、細い針を用意することをおすすめします。
②①の中心点を基準に、両面のライナーにコンパスで罫書きします。
③三度切りと同じ要領で、裏側から裏ライナーと中芯を切ります。
中芯を切るときは、表ライナーを傷つけないよう慎重に切りましょう。
④くり抜き部分の周囲を傷つけないよう注意しつつ表側から表ライナーを切り、最後に切り抜く部分を取り外します。
もし中芯が切れていなければ、無理に外そうとせず裏側から切り直しましょう。
長方形の罫書きを行う際は、罫書きゲージの活用がおすすめです。罫書きを行ってから、円と同じ要領で裏ライナー→中芯→表ライナーの順に切ります。
ダンボールに円や長方形のくり抜きを作りたいときは、上記で紹介した手順を参考にしてください。
ダンボールを切るときに、力ずくで無理やり切ると失敗やケガにつながる恐れがあります。きちんと下準備を行っていくつかのポイントを押さえれば、初心者でも安全かつ綺麗に切ることが可能です。
ダンボール工作では、罫書きの有無や丁寧さによって作品の出来栄えが変わることも少なくありません。ダンボール工作のスキルを上げたい人は、使いやすいカッターや定規などを準備して罫書きの練習をしてみましょう。
※子どもが刃物類を使用するときは、ケガ・事故防止のため必ず大人がフォローしてください。